未使用長期保管品の船手玄能（「兵」銘）に槌目仕上げを施し、新たに梓柄を挿げたものです。
頭部重量は144匁（実測540g）、サイズは全長約36㎝、頭部幅14.6㎝、打ち面直径3.4㎝のほぼ円形（木殺し面形状）、反対の先端部縦8㎜横6㎜です。頭部には製造時からの細かいきず等あります。梓柄は新たに製作したものです。全体の形状はわずかに曲がり柄で握りの断面は逆おにぎり型、すっぽ抜け防止のために柄尻を太目(縦3.6㎝横最大3㎝）に成形してあります。玄能の柄は8割程まで固く仕込めば楔は必要ないそうですが、こちらの柄も紙で調整しながら8割程まで固く仕込みましたので、楔は打っておりません。ゆるみが出た場合は木槌等で柄尻を叩いて頂ければ締まると思います。（楔が必要と思われる方はお手数ですがご用意をお願い致します。）「梓」は古代では非常に強い弾力を活かして「梓弓」の材料とされていたものです。伊勢神宮で20年に一度行われる式年遷宮の際に納められる御神弓も「梓弓」ですので、縁起も良いと思います。柄の表面は猪の牙で磨きクリアー塗装で仕上げてあります。これは「猪牙（いのき）がけ」と呼ばれるもので、牙表面のエナメル質で木材表面の導管を押しつぶしながら磨き上げることで、木材が本来持つ色艶を引き出すことできる手法です。主に弓道の弓（和弓）を制作する際に用いられています。その他状態は写真を御確認下さい。
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